【歯並びが悪くなる原因】遺伝・先天的だけじゃない癖や生活習慣の注意点

歯並びが悪くなるのはなぜ？

歯並びが悪いのは「親もよくないから」「生まれつきだから仕方ない」とあきらめていませんか？確かに歯の大きさやあごの形などは遺伝である程度決まりますが、だからといって必ず歯並びが悪くなるということはありません。むしろ、後天的な理由の方が大きいとされています。

例えば、指しゃぶり。赤ちゃんのうちは鼻呼吸の習得や精神的な安定のために必要な行為ですが、乳歯が生えそろってもやめられずに続けていると、前歯が傾斜してしまうことがあります。また、奥歯を噛み合わせても前歯にすき間ができてしまう開咬は、ものを食べるのに支障が出てきます。また、現代人は子どものうちから柔らかいものばかりを食べているため、「噛む」動作が足りない傾向があります。その結果あごが充分発達せず、歯並びが悪くなるということもあります。

乳歯だからと言って無頓着ではいけない

乳幼児期の歯並びは永久歯の生え方にも影響します。「どうせ生え代わるから」と、乳歯の虫歯を放っておいた結果抜けてしまうと、6歳臼歯（奥歯）と呼ばれる最初の永久歯の位置がずれることがあります。永久歯はこの6歳臼歯を基準に生えてきますが、それがずれていたらその後の歯並びはどうなると思いますか？きれいに生えそろうのは難しいと想像がつくのではないでしょうか。

本格的な歯列矯正は3歳にならないと（乳歯が生えそろっていることが条件）始められませんが、それ以前に生活習慣やクセを改め、虫歯はきちんと治療しておくことで歯並びを改善できることがあります。小児歯科医が早いうちから定期健診を勧めるのはこうした理由からなのです。

その他、こんなクセが歯並びを悪くする

食事をする時、クチャクチャ音をたてる人は意外と多いです。実はこれは口呼吸をしている証拠です。人間は本来鼻で呼吸をしますが、最近の日本人の半分、子どもに至ってはおよそ8割が口呼吸だと言われています。姿勢の悪さや、子どもの場合はおしゃぶりや指しゃぶりをやめさせるのが早すぎたとか、授乳が充分でなかったなどの理由が挙げられています。鼻呼吸か口呼吸かは、口を1分間閉じるだけでわかります。口呼吸をしていると、苦しくて我慢できないはず。自分でもチェックしてみてください。

食事の最中も、呼吸ができないから口の中に食べ物が入っていても開けてしまうのです。口呼吸が歯並びに影響するのは、常に口が開いているため、本来外側から歯にかかるはずの圧力がなくなってしまうからです。口の中、つまり舌の圧力のみが働いてしまい、前歯が斜めになってしまうのはこのためです。また、舌で前歯を押すクセがあるときにも同様の症状が見られます。

左右のバランスも大切です。どちらか一方でだけ噛む、頬杖をつく、同じ側ばかりを向いて寝るなどのクセには要注意です。赤ちゃんは「寝グセ」で頭の形が変わってしまうと聞いたことはありませんか？歯並びも同じです。常に片側にだけ力が加わると、簡単にそのバランスは崩れてしまうのです。

姿勢の悪さが噛み合わせに影響する

日本人は総じて大人も子供も姿勢が悪いと言われています。かつて日本人の代名詞であった「猫背」は現代でも多く、パソコンやスマートフォン、携帯ゲームの普及に伴い、さらに増加しています。背中が丸くなると、充分に胸が開かない状態で沢山の空気を取り込もうと口呼吸になりやすくなります。口呼吸の弊害についてはすでに述べたとおりですが、姿勢の悪さが口呼吸の原因となり、その結果歯並びや噛み合わせが悪くなると聞けば、何となく背筋を　伸ばしたくなりませんか？
さらに口呼吸を行うと口の中が乾燥することから、唾液が減り虫歯や歯周病の原因菌が繁殖しやすくなるという弊害もあります。

この他にも歯並びが悪くなる原因は人それぞれでさまざまです。一度悪くなってしまった歯並びは直すのに時間と費用がかかりますので、普段の生活を見直すことが大切です。また、小さいお子様をお持ちの方は、子供の仕草などに十分注意し定期的に歯科医による噛み合わせ、歯並びのチェックを受けるようにしましょう。